真夏の残骸

「60ー61ー」

公園にはすべり台、ブランコ、シーソー、うんてい、小さな噴水なんかがあった。

遊具から少し離れた場所には小さな林がある。

林の奥に進んでいくと、一際太い幹がどんと構えていた。

葉も青々と茂っていてちょうど良い日除けになっている。


「87ー88ー」


幹の根元にはぽっかりと穴が空いていた。

これは木の裏側にまで回りこまないとわからない。

だからわたしは見付かるはずがないと自信を持っていた。

ふつう鬼のひとはちらっと木の陰を見るだけ。

でもこの穴の中にいれば、ちょっとやそっとじゃ見付からない。
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