真夏の残骸

突然がしっと腕を掴まれて目を瞬かせると、声の正体は誰よりも酔っぱらっていた田中くんだった。

顔はそこまで赤くなっていないけど、呂律があまり回っていない。

ていうか、かくれんぼ?


「あははっ!なつかしー!!」

「かくれんぼしよー!」

「二次会かくれんぼってー」

「んじゃ三次会はカラオケでー」

「ええーボウリングもありじゃん?」


酔いが回ってテンションが高い所為なのか皆が乗り気になって公園に向かい始めた。

田中くんは何故かわたしの腕をぶんぶん振り回しながら上機嫌だ。

ちらりと蓮崎くんの姿を探すと、麻美や山下くんたちと談笑しながら歩いていた。

ううっ…アドレス聞きそびれちゃった…。

でも三次会とか言ってるし、まだチャンスはあるよね…?
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