真夏の残骸
「探し出して」

懐かしさを感じている内に目的の公園に着いた。

昔と何も変わっていない公園は、わたしたちを温かく迎え入れてくれるようだった。

堂々と聳え立つ時計台には大きな鐘も付いている。

時計の針は8時を回ろうとしていた。

小学校のすぐ近くに会ったこの公園は皆にとっても思い出の場所のようで、口々に懐かしいねと零した。

遊具はとても小さく感じて、自分の成長を突き付けられる。

わたしの心はずっと縛り付けられたままなのに。


……きりの、くん。


忘れかけていた記憶が甦るように、鮮明に、過去が色付く。

今どこにいるのかな。

元気にしてるのかな。

ねえ、笑ってる?

< 53 / 75 >

この作品をシェア

pagetop