真夏の残骸
根元には相変わらずぽっかりと穴が開いていた。
大人がひとり、やっと入れるような小さい穴。
だけど子供ふたりは隠してくれる、大きな穴。
記憶がフラッシュバックするように視界が一瞬白く弾けた。
視界がじわりと歪む。
“おねがい、おれのこと、わすれないで”
忘れたくても忘れられなかったよ。
瞳に収まらなかった雫が、頬を伝って流れ落ちる。
泣くな、泣くな、泣くな。
だけど、でも、
もっと彼の姿を焼き付けさせてよ。