真夏の残骸
わたしはおとなしく瞳を閉じた。
緊張しているのか睫毛が震える。
吐息が熱い。
くらくらと眩暈がしそうな熱量。
だけど、ずっと、それが欲しかった。
もう片方の手がわたしの頬にそうっと添えられた。
まるで、壊れ物に触れるみたいに、優しく。
「……ちか、大好きだよ」
わたしも、と声にならない言葉を唇越しに伝えた。
柔らかくて熱いそれは、脳みそをどろどろに溶かしてしまう。
食むような口づけはやがて激しく、深みに嵌まる。
舌で唇を抉じ開けられ弄ばれ始めたとき、アイスを食べていたきりのくんの舌を思い出した。
あの甘そうな舌が今、わたしの舌を味わっているなんて。
…やっぱりわたしは変態かもしれないね。