真夏の残骸
「………あぶなかったね、きりのくん」
「…せまくない?」
「わたしはへいきだよ」
その言葉に嘘はなかった。
ひとりで隠れるには大きすぎる場所だったから。
いつも見付かるまで少し、寂しかった。
「……あついな」
「うん、そうだね」
「おちゃのむ?」
「だいじょうぶ、すいとうもってるよ」
「ねっちゅうしょうにきをつけろって、かあさんにいわれた」
「わたしも。でもよくわかんないや」
「あつくなるとあぶないって」
「あついのがだめなんだ、じゃあなつはこわいね」
「そうだな」
「…あついね」
「うん」