片道恋愛
そんな事を思いながらその光景を眺めていると、一人の男の子を発見した。
首にマフラーをぐるぐる巻きにして、友達と楽しそうにはしゃいでいる。
人一倍騒いでいる彼は。
地毛の茶色みかかった髪に、くりっと二重の眼で犬みたいだけど、可愛い容姿は女の子を夢中にさせるとか。
じっと見ていると、視線を感じたのか。
それとも月2回程度の習慣なのか。
その男の子が私に気付き、ニカッと笑いながら大きく両手を振る。
図書室は2階。
彼がいるグラウンドからは私の姿がハッキリ見える。
未だ大きく手を振る彼を見ながら苦笑いを浮かべていると、背後から物音がした。