片道恋愛



家の最寄り駅で電車から降りて、瞬と話ながら家へ向かう。




「ね、何で瞬ってさ、家に月に2回位しか来ないの?瞬の家からそんなに離れてもないんだから、芽依に会いたいなら週1~2で来れば良いのに。」




付き合って4年近くにもなる二人。
中学の頃はそれこそ週の半分は家に来ていたのに、高校に入ってからは段々と来る頻度が減った。



何かあったのかなって思ったりもしたけど、二人の仲が悪くなった訳でもないらしく。むしろ良好なようで。



それなのに何故、月2回なんて極端に回数が減ったのか。
前から感じていた事を瞬に聞いてみた。




『ああ。俺が行かない代わりに芽依が来てくれてるし。まあ、雅ちゃん待たせるのも悪いってのもあるけど…』



そう。瞬が来る回数が減った代わりに、芽依が瞬の家に行く事が増えた。

それでも極端過ぎる回数の減りかたに瞬は言葉を濁してから、開き直ったように言う。




『だって、芽依ん家のお母さん専業主婦でずっと家にいるじゃないですか。やっぱり気使うんですよね。

それに引き換え、うちの親は共働きであんまり家にはいない。』




何だろう。
つまり瞬は、うちの母の事をあまり良く思っていないと言う事なんだろうか。
気を使うのが疲れるから、自分の親が留守の間に芽依が来てくれる方が都合が良いと言う事?



4年近い付き合いで親公認の付き合いの二人だから、うちの両親は瞬の事を我が子の様に可愛がっている。


それなのに、瞬はそれが迷惑とでも言うのだろうか。


これまでそんな素振りなんて、見せた事もないのに…。







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