記憶
--現在
「ううっ・・・」
美優はあのときのように
泣きじゃくっている。
私の記憶に残っている姿よりは
少し大きい。
でも、何となく面影は残っている。
あの時より一層可愛らしくなった顔は
現在涙で濡れてびしょびしょ。
そんな美優を、
元汰が大切なものを守るように
抱きしめていた。
元汰の顔には私に対する怒りが
滲み出ていた。
私は何か、した?
記憶が無いからわからない。
血まみれの刃物を見ても、
・・何も、思い出せない。