冷たい世界の温かい者達
冷たい世界
桜の花弁が風で舞い散り、辺りを白く染める。
「あぁ゛~〜〜〜‼
何でこんなに遠いんだよ‼」
「うるせぇ、衣緒」
「んだよ、成一…」
朝っぱらからうるせぇいつもの面子に溜息が漏れる。
「ほらほら、まだやることは沢山あるんだから。
早く行こう」
千尋は衣緒の肩に手を置いて黒く笑う。
その笑みに怯えをなしたかの様に衣緒は「ハイっ!」と軍人みたいに姿勢を正した。
「千尋怖い~」
「ハッ」
鼻で笑いながら煙草を吸う成一は衣緒といつも張り合ってる。
そのせいで俺等が1番被害を受けるのだが。
「早く理事長室行って終わらせよう」
影助は小さくそう呟いて足を速める。
「本当にいんのかぁ?
“冷蝶”がさぁ。」
「ここら辺の地域で、間違いはないと思うよ」
困った様に笑いながら千尋はパソコンを掲げる。
「まぁ、やってみるだけいいじゃん。
暇だしさ。
ね、朔」
「………あぁ」
今日から俺等は、
たくさんの始まり、を迎える。