冷たい世界の温かい者達
秋谷は俺達の視線に気づいて少し笑った。
「何だ?
昔はお前等と同じだったのに教師になってる俺が不思議か?」
ん?と憎たらしげに聞いてくるインチキ教師にイラっとする。
……ウザい、絶対ウザい。
俺は静かに秋谷から距離をとり、秋谷の次の言葉を待っていた。
「んじゃ、一応理事室いくからな」
理事長……ねぇ。
会う必要も無いんじゃないか、と思うが、どうもその思いは打ち砕かれた。
俺の真意を読んだかのように秋谷は不気味な笑みを浮かべた。
「理事長に会わずに転校とは、あまり関心せんぞ。
しかも、理事室いかねぇと退学だし」
ゲラゲラと笑う秋谷に冷めた視線を送る俺達に気づいてるのか気づいてないのか知らないが、迷いもなく廊下を進んで行く。
「……おじさんが、僕達を同じ学級にしたの?」
「おじさんじゃねぇ‼」と叫んだ秋谷は溜息を吐いて俺等を睨めつけた。
「お前等みたいな厄介な奴、俺しか面倒見切れねぇだろうし……」
その後、ボソリと何かを呟いてたが俺達は興味も無く、ただ誘導されるがままに廊下を歩いた。