冷たい世界の温かい者達
まぁ、遠かったな……
秋谷は青い顔をしながらバンッと理事室を開けた。
「おいおい、裕人、扉壊す気かよ」
「壊れても直すだろうがよ」
「それはそうと、転校生は?」
「無視かおい」
グダグダな会話をする理事長らしき奴と秋谷。
だが……
「お、お前等か」
理事長は異常に若かった。
「よ、日代 志織だ。」
「……本当に理事長かよ?」
成一が頬を引き攣らせながら無理矢理口角を上げる。
「まぁ、若いわな。
俺は代理だ。代理」
「なら堂々と理事長って名乗るなよ」
「俺は別に名乗ってませ~ん」
……やべぇ、ムカつく。
イライラしてくると、理事長代理は笑った。
「裕人、由薇と会ったろ?」
「あぁ、まじアイツ大丈夫かよ」
「……多分、由薇だし」
「……」
奇妙な会話を繰り広げる2人は俺達の存在を忘れていると思う。
絶対。断言できる。