【完】るーむしぇあ。

* * * * *


部活を終えて、私は紙袋を手にわかば病院に向かっていた。

綾香ちゃんに新しい本を届けるためだ。


木下美波のことを考えると、とても、かなり、非常に憂鬱だけど、暗い顔してるのは私らしくない。

綾香ちゃんにそんな顔見せたくないしね。


「よしっ、気合だ陽菜!!」


「ふっ……でかい独り言」


「ふえっ?!」


いつの間にかすぐ横に立っていたのは和希くんだった。


校門を出てかなり人影がまばらになっていたから油断して出てしまった独り言を、よりによって和希くんに聞かれるなんて……。


和希くんはまだ少し笑っている。



さすがにこれは恥ずかしいな……。
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