【完】るーむしぇあ。
「綾香、調子はどう?」
「大丈夫だよ!!今日はね、風花ちゃんと一緒に少しお散歩もしたもん」
そっか、と言って彼は妹の頭を撫でる。
その表情は優しくて……私の心臓はトクンと跳ねた。
木下美波と和希くんの間に何があったかは知らないけど、今、こんな彼の表情を見ているのは私だから。
ねえ、また少し、"好き"が大きくなった気がするんだよ。
前までの私はこの気持ち、すぐに言葉で伝えてしまっていたね。
だけど今は、まだ言わないって決めてるからこそ苦しくて、"好き"の気持ちが募っていくのかな。
私は幸福で、苦くて、少し甘い気持ちで、彼の背中を見つめていた。