【完】るーむしぇあ。

「綾香、調子はどう?」


「大丈夫だよ!!今日はね、風花ちゃんと一緒に少しお散歩もしたもん」


そっか、と言って彼は妹の頭を撫でる。

その表情は優しくて……私の心臓はトクンと跳ねた。



木下美波と和希くんの間に何があったかは知らないけど、今、こんな彼の表情を見ているのは私だから。



ねえ、また少し、"好き"が大きくなった気がするんだよ。

前までの私はこの気持ち、すぐに言葉で伝えてしまっていたね。

だけど今は、まだ言わないって決めてるからこそ苦しくて、"好き"の気持ちが募っていくのかな。



私は幸福で、苦くて、少し甘い気持ちで、彼の背中を見つめていた。
< 108 / 362 >

この作品をシェア

pagetop