【完】るーむしぇあ。
和希くんは時計をちらりと見て、綾香ちゃんの頭を撫でてから帰る準備を始めた。

綾香ちゃんは笑顔で「じゃあね、お兄ちゃん」って言ってたけど、和希くんが病室の窓を閉めて、綾香ちゃんから目を離した一瞬、彼女は小さなため息をついた。


お兄ちゃんの前では元気に振舞っているだけで、彼女は今日もこの病室で1人眠るんだ。



何かしてあげたい。

本を届ける以外にもっともっと。



それは計算なんかじゃなくて、純粋な気持ちだった。


この強くて、優しい女の子のことを守ってあげたいって、本当にそう思った。



私はふと、りっちゃんの顔を思い浮かべる。



……あ、いいこと思いついた!!
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