【完】るーむしぇあ。
「30分後、パートリーダーから次の合奏メンバーを発表してもらいます」
合奏後の部長からの言葉を聞いて、みんなの顔から笑顔が消えた。
こんな時だって、和希くんは顔色1つ変えず、黙々と譜面と向き合っている。
木下美波とも目が合う。
彼女は私に余裕の笑みを向ける。
──そして30分後。
私の名前は……呼ばれなかった。
和希くんや大ちゃん、木下美波も呼ばれたのに。
名前を呼ばれなかったメンバーの練習部屋の雰囲気は重苦しくて、息が詰まりそうだった。
わかってはいたんだ。
彼女の方が上手いってこと。