【完】るーむしぇあ。
下からは「移動しまーす」という声が聞こえる。


きっと誰もいないと思って、電気を消したんだ。

そっか、誰も私がいるってこと、思い出してくれなかったんだ。



驚きで止まっていた涙は、また真下に向かってポツリポツリと落ちて行く。



私って、なんて泣き虫なんだろう。

泣いたってどうしようもないのに。


こんな風に"誰か助けて"なんて待ってるだけのヒロインになんて、私はなりたくないのに。


それでも和希くんに会いたいって思ってしまう。

それが恋だとしたら、なんて愚かなんだろう。



みんなが移動してしまった後には、妙な静けさと風の音だけが残った。
< 218 / 362 >

この作品をシェア

pagetop