【完】るーむしぇあ。

「佐々木?」


「ひぇ?!」


突然の声に驚いて変な声を上げてしまう。


「こんなとこにいたんだ」


「え……なんで……」


暗くて顔が見えなくても、目の前に現れた人物が誰かって、声でわかるよ。

私の大好きな人、和希くんだもん。


「佐々木が泣いてる気がして」


「え……」


突然、温かい彼の手が頬に触れる。


「ほら、やっぱり」


風が吹いて、少しスースーする涙の跡に触れられると、ぱっと目の前が明るくなったような気がした。
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