【完】るーむしぇあ。
音楽室は不自然なほどの沈黙が流れていた。

壁に飾られたバッハもベートーベンも静かに私たちを見下ろしている。


グランドピアノの前には顧問の先生と部長、コンサートマスターが座っていて、それに向かい合う形でフルートパートの全員が座って表情を固くしていた。


「合宿お疲れ様でした。コンクールのメンバーを発表します」


部長でもなく、コンサートマスターでもなく、先生が口を開いた。


「遠山さん、内田さん、西海さん、それから……」


ゴクリ

私ののどから発せられた音が部屋中に響いた気がした。




< 228 / 362 >

この作品をシェア

pagetop