【完】るーむしぇあ。
「どうしたの?木下さん……佐々木さんまで」
あ、なんかまずいタイミングだったような気がする。
私が言葉に詰まっている間に、木下美波は先生との間合いを詰める。
私の存在なんてまるで気付いていないみたいだ。
「先生、私、納得できません」
「メンバー発表のことかな?」
先生の声はどこまでも穏やかなままで、だけどそれがますます彼女をイラだたせている気がした。
「私のどこがだめだったんですか?誰よりも正確に演奏する自信もあるし、そうするための努力もしてきました」
「……そうだね。木下さんは演奏者としての力量は十分だ。だけどそれはソリストとしてだね」