【完】るーむしぇあ。
すっかり紫色に染まりきった世界を私はきょろきょろしながら走る。

中庭まで来たところでやっと、遠くに彼女の姿を見つけることができた。



声をかけようとして、私はふと足を止めた。



……なんて声かける?

無計画な私はそんなことも考えずに走っていたんだ。


「佐々木?」


「ふぇ?!」


突然、肩をとんとんってされて推定10センチ程度飛び上がった私をクスリと笑った声は──


「和希くん……」


まだ残ってたんだ。


もしかして、誰かを探してた?
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