【完】るーむしぇあ。
「でも、じゃなくて、ね?今、彼女が必要なのは和希くんだから」
彼はしばらく迷ってから、心配そうな表情で私を見つめる。
そして、私の両手を自分の両手でぎゅっと包んで、小さく「ごめん」と呟く。
私は頷いて、彼女の元へ走る後姿を見送った。
……彼女が和希くんに気付く。
そして、その胸に彼女が飛び込む。
彼は少し戸惑って……でも、ゆっくりと優しく彼女を抱きしめた。
私はくるりと背を向けて学校を離れる。
これで良かったんだ、って言い聞かせながら。
だけど、彼が彼女を抱きしめる光景は薄まるどころか、どんどん色濃くなっていく。