【完】るーむしぇあ。
手招きされて入った部屋には書類がたくさん積まれたいる。

和希くんの姿が見えなくなって、緊張が解けた私はふぅっと息を吐き出した。


「元気ないねぇ?どうしたの?」


「ええ?!私、元気ないですか?」


いつもと変わらず、いや、いつもより笑顔を絶やさず元気いっぱいの私でいたつもりだったけど。


「元気だけどね、そういうのを空元気って言うんだよ」


「……」


りっちゃんはそれ以上は何も言わず、冷たい麦茶の入ったコップを目の前に差し出してくれた。


それを一気にぐいっと飲み干す。

冷たい感覚が体を通り抜けると、さっきまでの息苦しさは幾分和らいだ気がした。
< 255 / 362 >

この作品をシェア

pagetop