【完】るーむしぇあ。
和希くんに怒っていた綾香ちゃんが、今度は私を見てにっこりと笑う。


「おねえちゃん、あのね、分かりにくいけどちゃんとお兄ちゃんは心配してるんだよ」


そんなわけない……。

だって和希くんが心配してるのは私じゃない。




ガチャ


「お楽しみのとこ悪いけどそろそろ面会時間終わりだよー」


りっちゃんが入ってきたことで話はそこでぷっつりと途切れて、中途半端になった気持ちはそのまま宙に置き去りになった。


「帰ろうか」


和希くんが目も合わせず私に言う。


私はうなずいて、綾香ちゃんにバイバイを言って病室を出た。
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