【完】るーむしぇあ。
「佐々木、寝ちゃった?」
──起きてるよ。
そう言いたかったけど声は出ないし、和希くんの声はぼんやりとしか聞こえない。
私は眠りという海底に落ちようとしていて、和希くんはその淵で私に呼びかけているみたい。
「ごめんな」
──なにが?
「コンクールメンバーに選ばれなくてショック受けないはずないのに」
──うん、ショックだったよ。やっぱりって思ったけど。
「心配してたけど、佐々木なら大丈夫だって思ってた。佐々木は強いからって」
和希くんの声は胸が苦しくなるほど切ない。
だけど、すぐ近くから聞こえる声はなぜか心地よく響く。