【完】るーむしぇあ。
病院までの道のりは遥か遠く、険しく、まるでシルクロードを旅してるようだ。
……なんて、ちょっと言い過ぎたけど、この沈黙と暑さはかなり厳しい。
白い建物が見え始めた時、私からは安堵のため息が漏れた。
「佐々木さん」
「うん?」
あと少しでこの沈黙から解放されると思ったら、予想外にも木下美波から話しかけてくる事によって沈黙が破られた。
「この間は……ありがとう」
「…………え?」
あまりにも理解不能なことが起こると、人間って立ち止まってしまうらしい。
かなり小さな声だったけど、確かに感謝の言葉が聞こえた。