【完】るーむしぇあ。
……──最初はただ、同じ学校の同じ学年だという繋がりしかなかった。
綾香ちゃんが生まれるまでは。
木下美波の父親が小児科の医者で、綾香ちゃんの主治医になったことがきっかけだった。
和希くんと木下美波は、病院で何度か顔を合わせるうちに話すようになり、本を貸しあったりして、いつの間にか親しい友人になった。
学年が上がり、お互い少しずつ異性を意識し始め、学校では話す回数が減る。
だけど病院では誰にも気兼ねすることなく、2人はたくさんの話をした。
この時にはすでに、彼は彼女のことを好きだという自覚があった。