【完】るーむしぇあ。
窓辺には春の日差しが深く差し込み、彼のさらさらした黒髪の艶を強調し、同い年なのに落ち着いた物腰はとても大人に見える。

だけど、話をしている友達を見る目は、眼鏡をかけていてもその優しさがよくわかった。


『ちょっと陽菜?ボーっとしちゃって大丈夫?』


『あ、うん』


友達の問いかけに曖昧に答えて、私たちは教室に戻る。



それから私は彼の存在をいつも探していた。


それが恋だってことも、最初は全然気付かなかったんだ。
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