【完】るーむしぇあ。
「美波?」
木下美波はゆっくり私たちの近くへと歩み寄る。
顔に少し寂しい笑顔を浮かべて。
「佐々木さん、ごめんね」
「え?」
突然の予想外の言葉に驚いた私を、彼女はくすりと笑った。
「かずくんは優しいから私の言ったことを守ってくれてただけなの」
「何の話?」
「ダメだってわかってたんだけど、もしかしたらって思って……でも、綾香ちゃんの手術を待っているとこ見て、本当に『もうダメだな』って思っちゃった」