【完】るーむしぇあ。
え……うそ……。


「自分の気持ちにすらちゃんと気付かなかったんだ……美波のことだって大切だったから」


和希くんは左手で自転車を支えて、右手で私の頬にそっと触れる。


「だけど、綾香が危なかったとき、俺が頼ったのは佐々木だった。

佐々木の真っ直ぐなとことか、くるくる変わる表情とか、行動力あるとことか」


ごくり。

恥ずかしいくらいに喉が鳴った。



「好きだよ」


「……っ」



頬に触れる彼の手の上から自分の手を重ねる。

まばたきをしたら涙が溢れて、2人の指を濡らした。
< 356 / 362 >

この作品をシェア

pagetop