【完】るーむしぇあ。
彼の手がそっと私の前髪を左右に分ける。

それがくすぐったくて、目を閉じる。

遠慮がちに温かいものが触れて慌てて目を開けると、そこには彼の首筋があって……



おでこにキスされてる?!



状況を理解するのに数秒かかると、今度は顔が熱くなった。

まさか保健室で見た夢が本当になるなんて思ってなかったから。


「帰ろっか」


「……うん!!」


頬は熱いまま、ゆっくりと歩き始めた彼の横に並んで、外灯が輝く街を見下ろした。


「和希くん、あのね、私が倒れた日覚えてる?」


「覚えてるよ」


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