【完】るーむしぇあ。

「陽菜ちゃんありがとう。お昼ご飯食べてないでしょ?こっち来て」


彼女の後ろについて、建物の中を進んで行くと明るく広い食堂に出る。


「りっちゃん、その子は?バイト雇ったの?」


車椅子に乗っている中年の女性が、話しかけてきた。


「ううん、ちょっと手伝ってもらっただけなの」


上原さんがそう言うと、その女性は、明日からも来てもらえばいいのに、と残念そうな様子で遠ざかっていった。

その女性の姿を目で追いながら、あらためて周りを見渡すと子供からお年寄りまでが、各々穏やかに昼下がりを過ごしている。


「陽菜ちゃんこっちよ」


「あ、はーい」


私は上原さんが手招きしている日の差し込む窓際のテーブルに向かって歩き出した。
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