【完】るーむしぇあ。
私は、ハイっと言いながらと手を上げた。


「なに、佐々木」


「補足してもいいですか」


和希くんはまだ冷たい目をしたままだけど、頷いてくれる。


「ここに来たのはたまたま通りかかっただけで、和希くんを尾行したわけじゃないです」


「じゃあなんで覗いてたんだよ?」


「それは、和希くんのクラリネットが聞こえたから」


いつもより優しい音だったのは、綾香ちゃんがいたからかな?

でも私には分かる。
和希くんの音。


「お兄ちゃんの音が分かるんだね!綾香と一緒だ!」



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