【完】るーむしぇあ。
「だいじょーぶ!綾香はもう子供じゃないもん!」
ぴょんと椅子から飛び降りた綾香ちゃんは、そのままどこかへ行ってしまった。
元気そうに見えるけど、綾香ちゃんは病気なんだよね?
もしかして和希くんに悪いことしたかな。
りっちゃんが食器を片付けに席を立つと、気まずい沈黙が流れた。
昼寝の時間なのか、診察の時間なのかわからないが、気付けば周りにいた人の姿もほとんどない。
お見舞いにきたんだろう思われる数人が、各々読書をしていたり、新聞を読んでいるだけだ。
「……この病院はさ、治すのが少し難しい病気の人のための施設なんだ」
突然始まった彼の話に、私は静かに耳を傾けた。