【完】るーむしぇあ。
「風花ちゃんのこと嫌いにならないでね?」
心配そうな綾香ちゃんに笑顔を向けると、その表情は幾分和らいだ。
彼女が椅子を指差したから、私は丸くて小さな椅子をベッドのそばに引き寄せて腰を下ろす。
「体調はどう?」
「大丈夫!おねえちゃんが来てくれるのが楽しみで早く目が覚めちゃったよ」
えへへと照れた笑みを浮べる表情は、春の日差しのように部屋を明るくする。
私がここに来るだけでこんなに嬉しそうにしてくれるんだから、和希くんが来たらもっと嬉しいはず。
なのになんで和希くんは毎日ここに来ないんだろう。
あんなに大事そうにしている妹なのに。