【完】るーむしぇあ。

「お兄ちゃんは今日もアルバイト?」


「うん、そうみたい」


そっか、と言う表情はやっぱり少し寂しそうだ。


「和希くんに会いたい?」


「会いたいけど……土曜日だけって決めてるから」


「それはなんで?」


お互いにもっと会いたいと思ってるならどうして?


「綾香のためだったらね、お兄ちゃん、すごく無理するから。

綾香のところに来て、アルバイトして、勉強して……好きな楽器の練習もできないよ」



そうだったんだ。

彼女は和希くんのために我慢しているんだ。


それは幼い彼女にとってどれだけ辛いことだろう。
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