【完】るーむしぇあ。
「ありがとね」
二人が出て行った後でりっちゃんは私にそう言った。
「え?何がですか?」
りっちゃんは私の頭をぐちゃぐちゃっと豪快に撫でる。
「綾香ちゃんの強がりに気がついてくれて、ありがとね」
まっすぐに褒められると少しくすぐったい。
「綾香ちゃんは難しい病気なんですよね?」
「そうね。検査や治療は大人でも苦しいのに……あの子は弱音なんて吐かないの。だから心配でね」
本当は寂しいはずなのに和希くんを気づかったりする子だもん。
痛い、嫌だ、怖い……そんな感情はきっと押し殺してしまう。
我慢している間に甘え方も忘れてしまったのかもしれない。
それを思うと胸がぎゅっと狭くなったみたいに苦しかった。