【完】るーむしぇあ。
先生は私を指差し、私と彼女の目が合った……と思ったら、


「かずくん?!」


へ?



彼女の目は私の1つ前の席、つまり和希くんを捕らえ、机の間を縫って近づく。


和希くんは転校生の紹介なんて興味がなかったみたいで、読んでいた本からゆっくりと視線を上げる。


「美波……」


「嬉しい。かずくんと一緒のクラスだなんて」


彼は言葉を続けられず、彼女をただ見つめた。



"かずくん"、"美波"。


そう呼び合う2人とその様子を見つめるクラスメイトたち。



青天の霹靂な事件に、私もただ彼女を見つめることしかできなかった。
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