【完】るーむしぇあ。

「わかったから妄想を大声で話すのやめなさいってば」


昼休み、中庭、いつものベンチに私と美雪と葵。

ああ、涙で視界が歪む。


「まだ分からないよ?だからね?」


葵の優しさが心に染みる……けども!それ以上に木下美波の登場のダメージは大きかった。


「陽菜らしくないじゃん。防御なしで特攻するのがアンタでしょ」


そうです。そうですけどね。


和希くんが今まで見たことない表情するんだもん。

何かこう、すごく複雑で色んな意味が込められたような。


「陽菜はホントに桜井くんのこと好きなんだね」


葵が急に感心したような声を出したから私はふと絶望の妄想から抜け出して、彼女の方を向いた。
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