【完】るーむしぇあ。
「最初はね、陽菜も桜井くんのことをきゃーきゃー言ってる女の子たちと同じなんだと思ってた。だけど全然違うんだね」
葵の言葉に美雪もうなずいた。
「そうそう。ただの追っかけかと思ってた」
美雪……追っかけだなんて、そんなアイドルみたいな。
いや、アイドルみたいなもんだけど。
手を伸ばしても届かないし、だけど距離はテレビやコンサートで見るほど遠くなくて、届きそうだからタチが悪いんだ。
何度も諦めようって思ってきた。
だけど、それでもやっぱり好きだから。
ぽつりと零れた涙を葵のハンカチが受け止めてくれる。
「陽菜、まだ泣くのは早いよ」
「そうそう、アンタらしく、ずばっと聞いておいで」