【完】るーむしぇあ。


────青天の霹靂ってまさにこういうことを言うんだと思った。


『と、倒産?!』


父は会社を経営して、私はそれなりに裕福な家庭で不自由なく育った。


そんなある日、いきなり会社の倒産を告げられた私は、その言葉を理解するために、あまり良くない頭をフル回転させる。


『……つまり、高校には行けないってこと?』


説得に説得を重ねた夢の1人暮らしが羽根を生やして目の前から飛び去って行く……


『陽菜、それは心配しなくていい。学費と家賃はすべて払い終わっているから』


一瞬、喜びで飛び上がりそうになってから、やっぱり思い直して父に顔をじっと見つめる。
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