オジサンが欲しい
「まだ助かるかも?みたいな希望を、決して忘れない目。
いいですよ、とても美しい。
ますますあなたを、空っぽの空虚な人形にしてやりたくなった」
少女はますます息巻いた。
そしてスタンガンを仕舞うと、寺尾の額へ、そっとキスを落とす。
「でも残念。
誰もあなたを助けには来ませんよ。
もちろん、警察も行方不明者としてあなたを探しはしない。
日本の警察は、確かに世界の中でも優れてる方かもしれないですけど。
……やっぱり警察も人間。
ぞんざいにできてるもんなんです」
少女の声が終末を告げる。
瞠目して見上げた寺尾の頬に、少女は優しく触れてやった。
「大丈夫。
あなたが空っぽになったら、優しく扱ってあげますよ。
かつて、私を連れてってくれた“おじさん”が、私にそうしてくれたように」