オジサンが欲しい
さらに寺尾は、重大なことに気づく。
ジーンズのズボンと黒いタンクトップ以外、知らぬ間に服を脱がされていたのだ。
下着も同然の薄いタンクトップからは、体のラインがあらわになる。
「っ!」
寺尾り思わず身じろぎするが、どれだけ強い力で抗っても、縄が振りほどかれることはなかった。
寺尾は混乱していた。
誰が?
なぜ?
なぜこんなことを?
そもそもここはどこなのだ。
もくもくと疑問が浮かぶが、答えを返してくれるものはいない。
しばらくじたばたとあがいていた寺尾だったが、体力が尽きてくると、やがて抗うこともなくなった。
体が鎮まった途端、頭が冷えてくる。
まず、あの気を失った夜からの出来事を整理した。
仕事の帰り道。
ひと気のない道を通って家路を急いでいたところで、背後から強い衝撃を受けて気絶する。
そして気がつけば、見知らぬ部屋で、服を脱がされ、拘束されて、寝転がされていた。
(誰かに襲われた?)
当然、寺尾の頭にはそんな憶測がよぎる。