はじめからおわりまで
「まぁ、気づいたら自分の一部になってたからな。音楽とかギターがない世界なんてありえねー」

「すごい惚れこみよう」

いいな、と本音がでてしまう。小声だったし南に気づかれていないといいけど。

「さて、部室いくかー」

もうほとんど教室にひとはいないから、南の声が透る。

「ん。そうしましょう」

さっきの独り言はきこえてなかったみたいで、ほっとする。だって本音を口にするなんてめったにないことだから。それについて、深く聞かれるとすごく困る。


話題を変えるかのように、彼より先に教室の扉を開けて先に廊下へ出る。

「早くしないと、おいてくよ?」


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