響〜HIBIKI〜
TAKAHIROとオーナー達は、楽しそうに島の話やTAKAHIROの仕事の話で盛り上がっていたが、花奏は緊張して、ほとんど話にも参加出来ず、食事も喉を通らなかった。



「ご馳走さまでした」



食事を終えて、TAKAHIROは部屋へ戻ろうとしたがふとピアノに近より、



「ね、ピアノ聞かせて欲しいな」



と、花奏に言った。


食事の片付けを手伝っていた花奏は、TAKAHIROの申し出に、


「え、でも…、緊張して、うまく弾けないかも…」


と、まだ緊張でいっぱいだった。


「大丈夫」


TAKAHIROは、笑顔でそういった。


花奏は椅子に腰掛ける。


目を閉じ、心を落ちつかせる。


深く息を吸って、鍵盤に指をのせる。


昼間に聞いた時と同じように優しい音色が響く。


TAKAHIROは目を閉じてピアノの音色に聞きいっている。


昼間見た海や風のそよぐ景色が頭の中に現れてくる。
< 10 / 142 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop