響〜HIBIKI〜
イベント当日。


衣装に着替え、メイクもバッチリ。


後は、ステージに上がるのを待つばかり。

東京の会場では、抽選に当たったファン300人とテレビや雑誌の取材人が待ち構えている。


「時間です」


「はいっ」


スタッフが控え室に二人を呼びに来た。


ステージ裾にスタンバイする。


「かな、深呼吸して」


「うん。スー…ハー…」


会場のざわざわや司会の声が聞こえる。


花奏は意外に落ち着いている自分に気付いた。


考えてみたら、今までピアノをやって来て発表会やコンクール、演奏会などなど何度もステージに上がっている。


このざわざわや、緊張はそれに似ていた。
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