響〜HIBIKI〜
第17話
花奏には、次々と仕事が舞い込んで来ていた。

時の人だけあって、雑誌やテレビの仕事が主だったが、特技としてピアノの腕前を披露することも度々あった。

移動中の車の中で、実家へ電話をする花奏。

…「お母さん、色々ごめんね」

「こっちは、大丈夫だから、思い切りやってみなさい。TAKAHIRO君とも、うまく行ってるなら、安心だし」…

島に帰る暇もないままバタバタと3ヶ月が過ぎていた。

島でのピアノの仕事も断ることになり、荷作りから住民票の手続きまで全て母親にお任せになってしまっていた。

…「落ち着いたら、一度島に帰るつもりだけど、まとめて休みが取れるのがいつになるか分からないから」

「いいのよ、こっちのことは、気にしないで。皆んな、分かってるから。かなが活躍してるの皆んな喜んでるのよ。あ、それとTAKAHIRO君によろしくね」

「うん、TAKAHIROさんもいつも時間なくてゆっくり話出来ないからって、気にしてた。島には、中々いけないだろうから、東京に遊びに来てって言ってたよ」

「そうね、かなの生活ぶりも見てみたいし、近いうちに遊びに行くわ」

「うん、待ってるね。じゃあ、また電話するね」…

相変わらず、TAKAHIROのマンションに居候のままだった。

送って貰った荷物もダンボール箱から出し入れしている程で、引っ越しどころではなかった。

HIROの予想通りの展開だったが、花奏には思ってもみなかった忙しさだった。
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