響〜HIBIKI〜
「私、お兄ちゃんに憧れてたから、嬉しいです」


花奏は、TAKAHIROとの距離が縮まって急に元気が出てきた。


「ねぇ、TAKAHIROさん、いいもの見せてあげる」


「いいもの?」


「うん」


かなは、そう言って早足に歩いた。



たどり着いたところは、集落から少し離れた所の丘の様な所だった。


「ほら、見て!」


そう言って、空を見上げると、


「うわ、すげー」


TAKAHIROと花奏が見上げたのは、満天の星空だった。


花奏は、嬉しそうにTAKAHIROを見た。


「最高でしょ」


「うん」


TAKAHIROは、星空に吸い込まれそうな気持ちになった。


「何か嫌なことあっても、ここに来たら全部忘れてスッキリした気持ちになれるから、東京から帰って来た時も真っ先にここにきたの」


「東京は、嫌なことあった?」


「色々あったけど、もう、忘れちゃった」


花奏は、東京での事は思い出したくないのか、何も話さなかった。
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