響〜HIBIKI〜
花奏は、涙を拭いながら夜空を見上げる。


「星、綺麗だね」


「あぁ、最高」


TAKAHIROは、花奏のその涙の奥に東京での辛い思い出や色々な気持ちがあるのだと感じた。



TAKAHIRO自身も地方出身者で、東京に出て来て色んな経験をして来た。


辛いことも悲しいことも。


でも今は、自分が歌うことで人を幸せにしたり、元気づけたり出来るということは、TAKAHIROにとっても幸せなことだった。


「かな、ありがと」


「え?私は、何も…」


「俺の歌、かなの心に響いた?」


「うん、響いてる」


「そっか…、よかった。かなって本当ピュアだね」


「え、そんなことないよ…。この島に育ったから、世間知らずなだけだよ」


そういいながらも、花奏の瞳は、夜空と同じように輝いていた。
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