響〜HIBIKI〜
「かな、お疲れ様」


今日の撮影が終わり、ペンションでホッと一息つく二人だった。


「お疲れ様、TAKAHIROさん、ありがとう。TAKAHIROさんのお陰で今日の撮影落ち着いて出来た気がする」


「うん」


二人は、ワインで乾杯する。


今日は、撮影で少し遅くなったので二人きりの夕食だった。


「かなは、飲める方?」


「少しだけね。TAKAHIROさんは、お酒強いでしょ。」


「ん、どうかな?」


TAKAHIROは、トボけて笑った。


「美味しいワインと美味しい料理と、素敵な女の子がいたら、すぐに酔うっちゃうかもしれないな」


花奏は少しためらって、


「ワインと料理は、揃ってるけど…」


と言うとTAKAHIROが


「素敵な女の子もね」


と笑顔で応えた。


花奏は、はにかみながらうつむく。


それでも、今日の撮影が順調にいった安心からか、花奏はいつもより酒がすすんだ。


TAKAHIROは、グラスを片手にピアノの前に立つと、


「かな、ピアノ聴かせて」


と言った。


花奏は、火照った頬を押さえながら、


「私、酔ってるよ」


そう言ってTAKAHIROを見上げる。


「来て」


TAKAHIROは、花奏の手をとってピアノの前へエスコートする。
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